はじめに
イエティから発売された SF サスペンスアドベンチャーゲーム「ルートダブル -Before Crime * After Days-」をクリアしました。
プロデューサーの中澤工さんは Ever17, Remember11, シークレットゲーム, AI ソムニウムファイルなど 自分が好きなゲームを数多く手掛けられていて、絶対このゲーム(ルートダブル)も自分好きだろうな〜と思いながらプレイしました。
シナリオは「チーム月島」さんという、ゲームシナリオ・脚本を手掛けるライターチームによって提供されているそうです。
原画・キャラクターデザインについてはみけおう先生がメイン担当をされています(調べたところ、 YouTube チャンネルも開設されているのですね)。
今回の記事ではルートダブルをプレイした感想を書いていこうと思います。
ただし、ここ最近忙しくクリアしたときから 2 週間ほど経ってしまっており記憶が曖昧になってきているため、無軌道的なまとめ方になるかなと思います。
(思ったことごとに <h1> の節を作っていく)
シナリオがとても練られている
ルートダブルをプレイして一番思ったことが「めちゃくちゃシナリオが練られていてすごい…」ということです。
具体的には
- タイトルを含む用語における記号の文字遊び
- ストーリー・キャラクターの背景
- 伏線が多いこと
です。
シナリオがどう練られているかについてはディレクターである中澤さんがインタビューで答えているためこちらの記事を参照するのがよいかと思います。
タイトルを含む用語における記号の文字遊び
ルートダブルは全部で 4 ルートで構成されています。
After / Before / Current / Double (ABCD) という 4 ルートです。
ABCD というおしゃれなルート設定になっています。
またタイトルの副題における Before Crime After Days は BCAD となっています。
BC は登場人物である夏彦の過去を表しています。夏彦は BC (Beyond Communication) というテレパシーを利用しており、ここでも BC がダブルミーニングになっています。
また、 AD は登場人物である渡瀬の未来を表しています。 AD という「放射能から身を守るアンプル剤」がゲーム内で出てきており、こちらもダブルミーニングになっています。
また、 ルートダブルについても Root という平方根、そして Route ルート分岐が複数ある、ということが示されています。
このように、記号をうまく使って複数の意味をもたせる・考察の余地を用意するのはすごいなぁと思いました。
こちらの記号の使い方やシナリオの重厚さはデイグラシアの羅針盤に近いなぁと思いました。
ストーリーとキャラクターの背景
メインキャラクター(というか BC 施設に閉じ込められてしまう人々)は全部で 9 名であり、それぞれエニアグラムのどれかのタイプに一致しています。
この 9 名それぞれは
- 鹿鳴市における BC 実験
- 原子力生物学研究機構第6研究所
- Q (反 BC 組織)
を巡って互いに密接に関わり合う悲しい過去を持っています。
途中までプレイして宇喜多のおじさんが犯人だろ…と嫌いになってたのですが、過去(宇喜多のおじさんの信念)をみてからコロっと変わって許した〜になりました。
それぐらいキャラクターの背景と過去が用意されており感情移入しやすく、かつストーリーと絡んでいました。
ストーリーについては、シュタインズゲートや CHAOS シリーズなど、妄想科学アドベンチャーシリーズと同様に「サイエンスアドベンチャー」としてうまく SF 世界が構築され、その世界のもとで重厚なストーリーが用意されていました。
ストーリーのためにキャラクターが存在するゲームと、キャラクターのためにストーリーが存在するゲームがあるのですが、ルートダブルについてはストーリーとキャラクターが一緒になって BC 世界の設定をより現実的かつ詳細に描いていました。
伏線が多いこと
本作は伏線がかなり多く、あ〜これってそういうことなのぉ〜〜〜なるほどなぁ〜〜〜〜!!!になることが多いです。
一方 「どんでん返し」や「瞬間最大風速」は Ever17 と比べると少ないのかなと感じました。
というのも、本作はかなりテキスト量が多くキャラクター背景やストーリー背景を説明してくれます。D ルートに至ってはかなり細かい点まで描写するため、おかないっぱいになってしまうぐらいです。
丁寧に描写した結果、もしかしてこのキャラって…? このストーリーって…? と推測することができ、おおよそその推測があってしまうため「うわ〜やられた〜」ではなく「なるほどなぁ〜」になっていました(騙された〜ではなく、ストーリーよく練られててすごいなぁ〜になる)。
伏線の内容なので Toggle 内です
Before ルートの時点で悠里は死んでいて、主人公がそれを生きていると錯覚しているかも…? というのはなんとなくそう思っていました。
また、そう考えると After ルートの悠里がいることに矛盾しているため、実はラボに監禁されていて死んでいるのかも…? もなんとなく思っていました。
A, B ルートそれぞれによって出てくる登場人物の CG は同じだが実体は異なる、というのは Ever17 と似ているなと思いました。
CG がとても多い
プレイしていて CG とても多いなぁと思いました。
キャラゲーではないため SD 絵がなく、その分 CG が多めなのはわかりますが、 30 分に 1 枚ぐらいのペースで CG があってすごいなぁと思いました。
作品内の用語(BC がどうして機能するのか?の世界背景的説明)も CG で説明されていてわかりやすかったです。
もし CG で説明されていなかったら、テレパシー・エンパシーにおける W 粒子の挙動については難しくてよくわからないなぁ… になっていたかもしれません。
テキストよりも画像、画像よりも動画、のようにできるだけ五感に訴えかける演出は大事なのだなと改めて思いました。
本作が伝えたいこと
選択すること
インタビューを見ると本作のキャッチコピーは「誰かのためにすべてを壊すのか。すべてのために誰かを殺すのか」らしいです。
D ルートにおける最後の夏彦の選択もそうですが、本作においては「選択」を迫られる場面が多く存在します。
ゲーム内システムであるセンシシズシンパシーがその代表例であり、各キャラへの信頼度を通してゲームの分岐が決定されます。
プレイヤーが第三者(BC)として、キャラクターの未来を選択する、というようにある分岐において責任もって選択しましょう、というのが1つのテーマなのかなと思いました。
相手に正しく伝えて理解すること
本作では「BC」という、相手に言葉を伝えなくても強制的に相手の心理を読み取って会話する、というテレパシー・エンパシーのコミュニケーションが出てきます。
夏彦がゲーム内で渡瀬や先生にエンパシー・テレパシーを使って、相手が言葉にしてくれないときでも強制的に相手の心情を把握する、という場面が多くありました。
しかし、 D ルートの後半で夏彦が「BC なんて必要ない。時間を使って相手を理解すれば気持ちを伝えられる」というように、 BC に頼らず相手と直接会話して話し合うことが一番大事である、ということを伝えています。
相手と対話して思い合うも 1 つのテーマなのかなと思いました。
まとめ
シナリオがとても練られていて、プレイしていてずっと飽きない非常に面白いゲームでした。
それぞれのキャラクターとストーリー・世界観が非常に深く設計されていて、どうやったらこういうシナリオ思いつくのかなぁ…という感じです。
次はサクラノ刻をプレイしていきます。
(プレイするのがもったいなくてプレイできていなかった)
最後に
風見さんがかわいすぎる…