はじめに
「数分間のエールを」を見てきました。
この記事では、本映画を見た ganyariya から捉えたテーマと良かった点、そして自分のものづくりの過去と照らし合わせた感想についてまとめます。
一言でまとめると「とてもおもしろかった&感動した」作品であり、ものづくりを行う端くれの人間である ganyariya にとってはとても刺さる作品でした。
「数分間のエールを」の概要
「数分間のエールを」は映像制作チーム Hurray!
と脚本 花田十輝
によって作成された作品です。
本作品を見るまで Hurray!
さんという映像制作チームを知らなかったのですが、調べてみるとヨルシカさんの MV 制作や No Logic, Afterglow の MV など、自分が好きな曲の MV を多く手掛けられていてひえ〜〜となりました。
また、メンバーはぽぷりかさん、おはじきさん、まごつきさんの 3 名しかおらず、その人数だけでこんなにグラフィックのすごい作品が生み出せるのか…??? とびっくりしました。
楽曲制作については、楽曲が VIVI さん、歌手は菅原圭さん であり、合計で 4 曲?映画の中で出てきています。
「数分間のエールを」のテーマ
「数分間のエールを」で観客に伝えたいテーマ、そして制作陣が制作陣自身に向けたテーマは「ものづくりは苦しいものだが、それでも心から楽しもう」だと感じました。
ノベルゲーム、ドラマ、映画、本を問わず、多くの作品ではテーマが定義されており、単一であることも複数であることもあります。
これらテーマはユーザにとって完璧に汲み取れるものではなく、作成陣側にとっても人によっては一番大事にしているテーマが異なる多様的な作品であることも多いと思います。
しかし、本作品は徹底的に「ものづくりの楽しさ」と「ものづくりの辛さ」を比較しながら描いており、非常にテーマが伝わりやすく、また繊細に描かれていました。
本テーマは
- ものづくりをこれから始めたい人
- 現在ものづくりを行っている人
- ものづくりを行った結果挫折した人
それぞれで刺さるものになっており、あらゆる人におすすめできる作品でした。
自分にも本テーマはめちゃくちゃ刺さり、その感想については別の節でまとめます。
「数分間のエールを」の良かった点
グラフィックがすごい
映像制作チーム Hurray!
さんの作品はどれも素晴らしいグラフィックですが、本作品は美しいトゥーン調に統一されており、映画全体自体が MV なのでは…? と思ってしまいました。
本作品のどのシーンを切り取っても、絵として非常に映(は)える(壁紙にしたい、ずっと眺めていたい)素晴らしいものでした。
ganyairya は ゲームの CG・ライティング・シェーダーなどが全くわかりませんが、すごいグラフィックの調整・シェーダーが当てられているのだなぁと素人ながら思いました。
グラフィックエンジニアなど、その界隈の方々絡みてもすごい画作りなのでしょう…
「ものづくり」を諦めた曲
菅原圭さんと VIVI さんの曲において、とくに「未明」が好きです。
ものづくりが辛くなってしまった、自分の才能を諦めた、そんな自分への決別をストレートに記した歌詞です。
その歌詞と VIVI さんの爽やかな曲調、そして感情的に収録された菅原圭さんの歌声が相まっています。
本作を見た方はぜひ歌詞をみながら曲を聞くのが良いかと思いました。
ものづくりの喜びと辛さを対象的に描いている点
本作ではものづくりをはじめて喜びを感じているキャラと、そして挫折して辛くなってしまったキャラを対象的に描いています。
ものづくりを始めた主人公「朝屋彼方」と「中川萌美」はものづくりの楽しさ・喜びを感じ周囲に共有することを目指します。
一方、挫折してしまった「織重夕」と「外崎大輔」はものづくりが辛くなってしまい、別の道を歩むことを目指します。
この「ものづくりの喜び」と「ものづくりの辛さ」がストーリー、そしてキャラクターを通じて交互に対象的に描かれており、自分の過去と比較できて感情移入しやすく、素晴らしい構成だなぁと感じました。
絵作りについても、これら対比が徹底的になされていて、作品として美しいものになっていました。
好きなキャラクターについて
織重先生かわいすぎる & すごい共感できる…
物静かな女性ですが、そのうちにはものづくりへのこだわり、そしてそれを表現したい強い気持ちがにじみ出ており、こういうキャラクター大好き〜となりました。
また、ものづくりにおいて自分の才能に疑問を抱き、世間を呪い、諦めてしまう、この過程が自分にも通じるところがあり共感できました。
直近では自分が好きなガールズバンドクライの桃香も似たような境遇であり、このような葛藤を抱えている野心的なキャラクターが好きなんだなぁと気づきました。
自分のものづくりを振り返って
本作品を見て
- 学生のときはものづくりが楽しかったけど同時に辛かった
- 彼方や織重先生ほど、自分はものづくりに熱中できず、挫折した
- ここ最近ものづくりが個人でできていないなぁ
と感じ、「ものづくりを改めてはじめて楽しもう!」という気持ちになりました。
学生のときはゲーム・サイトを作ったり、ものづくりとは趣が異なりますが競技プログラミングをひたすらやってコンテストに出てブログを書いて…を繰り返していました。
大学1,2年のときはうまく実装できなかったり、コンパイルが通らなかったり、よくまあ git も知らないなかやっていたなぁと…
彼方や織重先生は好きなものづくりに対して徹底的にのめり込んで継続するタイプですが、自分はここまでのものづくりの熱を持てていないなぁとあらためて気付かされました。
寝る時間も惜しくなり、とにかく作品を完成まで持っていく楽しさ。
この気持ち・経験が学生のころは多くありましたが(懐かしい)、ここ最近は個人でそれらの熱をもった活動ができていません。
社会人としてゲームのコードを書き、奥さんと一緒になり、時間が取れなくなった結果個人のものづくりの時間が減っています。
本作品はそんなものづくりに熱中できていない自分に対する「エール」であり「アドバイス」であり、「教訓」になりました。
あらためて「ものづくり」を再開して楽しもう、という気持ちに本作を通じてなれてとてもよかったです。
最後に
ものづくりを始めたい人、ものづくりをしている人、ものづくりが辛くなって挫折した人。
これらすべての方々に刺さる作品です。
ぜひ見てください。